← View index

法定雇用率未達企業向け:障害者雇用×人材紹介×助成金の掘り下げ

Generated: 2026-05-15

まず結論

法定雇用率2.5%を満たしていない企業には、単なる「障害者人材を紹介します」より、未達リスクの可視化 → 採用人数の試算 → 職務切り出し → 紹介 → 助成金案内 → 定着支援までを1パッケージにした方が刺さる。

2026年7月に民間企業の法定雇用率は2.7%へ上がる予定なので、今2.5%未達の企業は「今の不足」だけでなく「次の不足」も抱える。営業上は、ここがかなり強いフックになる。

企業側の痛み

1. 義務対象が広い

厚労省は、民間企業の法定雇用率を2.5%とし、従業員40人以上の事業主は障害者を1人以上雇用する必要があると説明している。

障害者雇用率制度で実雇用率に算定されるのは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者。短時間労働者は原則0.5人カウント。

2. 100人超なら納付金が効く

JEEDによると、常用労働者100人超の事業主で法定雇用率未達の場合、不足1人あたり月額50,000円の障害者雇用納付金を納付する。

これは罰金というより事業主間の負担調整制度だが、営業上はかなり分かりやすいコストになる。

ただし、納付金を払えば雇用義務が消えるわけではない。未達が続けば行政指導・雇入れ計画・企業名公表リスクがある。

3. 企業名公表リスクがある

厚労省は、障害者雇入れ計画の適正実施勧告を行ったにもかかわらず改善が見られない場合、障害者雇用促進法47条に基づき企業名を公表できるとしている。

営業では「いきなり公表されます」と煽るより、

  1. 毎年6月1日時点の障害者雇用状況報告
  2. 未達・改善遅れ
  3. 雇入れ計画作成命令
  4. 計画の適正実施勧告
  5. 特別指導
  6. 改善なしなら企業名公表

という段階を示す方が信頼される。

人材紹介と助成金の組み合わせ

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

厚労省のページでは、高年齢者や障害者などの就職困難者を、ハローワーク等の紹介により、継続雇用する労働者として雇い入れる事業主に助成される制度とされている。

ここで大事なのは「ハローワークだけ」ではなく、条件を満たした民間の有料・無料職業紹介事業者等の紹介も含まれる点。

ただし、職業紹介事業者側が、助成金の取扱いに必要な項目に同意し、労働局長に届出をしている必要がある。つまり、人材紹介会社が営業で使うなら、まず自社が対象紹介事業者として扱える状態か確認が必要。

支給額の目安

厚労省ページの支給額ベース。

| 対象 | 中小企業 | 中小以外 |

|---|---:|---:|

| 身体・知的障害者(重度等除く、短時間以外) | 120万円 / 2年 | 50万円 / 1年 |

| 重度障害者等(重度身体・重度知的・45歳以上の身体/知的・精神障害者) | 240万円 / 3年 | 100万円 / 1.5年 |

| 身体・知的・精神障害者(短時間労働者) | 80万円 / 2年 | 30万円 / 1年 |

注意点:

トライアル雇用の使いどころ

障害者トライアルコース

厚労省によると、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を一定期間雇用し、適性や業務遂行可能性を見極める制度。

支給額:

向いている企業:

障害者短時間トライアルコース

精神障害者または発達障害者が対象。雇入れ時は週10時間以上20時間未満で開始し、職場適応や体調に応じて20時間以上を目指す。

支給額:

これはかなり使いやすい。未達企業は「週20時間以上で安定稼働できる人をいきなり採る」ことに不安があるので、短時間から始める導線は提案価値が高い。

JEED系助成金:採用後の定着・環境整備に使う

採用助成金だけでは弱い。障害者雇用は、入社後の環境設計で詰まりやすいから。

JEEDの障害者雇用納付金関係助成金には、以下のようなものがある。

作業施設・設備

障害者作業施設設置等助成金は、障害者が作業を容易に行えるよう配慮された施設や改造設備を設置・整備する場合に費用の一部を助成する。

例:

介助・支援人材

障害者介助等助成金には、職場介助者、手話通訳・要約筆記、職場支援員、健康相談医、職業生活相談支援専門員、職業能力開発向上支援専門員などのメニューがある。

ここは「紹介後の定着支援パッケージ」と相性がいい。

ジョブコーチ系

JEEDには職場適応援助者助成金もある。訪問型・企業在籍型の職場適応援助者による支援が対象。

人材紹介だけだと「採ったけど続かない」で終わる。ジョブコーチや職場支援員まで案内できると、企業側の不安をかなり減らせる。

障害者雇用相談援助助成金

これは相談援助事業を実施する事業者側の収益機会になり得る。障害者雇用相談援助事業を利用する事業主に相談援助を行った場合、その費用の一部が助成される制度。

本気で事業化するなら、人材紹介単体ではなく「雇用相談援助事業者」側の認定・運用も調べる価値がある。

営業セグメント別の刺し方

A. 100人超・未達・不足1〜3人

一番営業しやすい。

痛み:

提案:

営業文句:

「納付金を払って終わりではなく、同じコストを採用・定着投資に振り替えませんか」

B. 100人超・不足多数

紹介だけでは足りない。採用プロジェクトになる。

痛み:

提案:

営業文句:

「求人を出す前に、採れる職務を作るところから一緒にやる必要があります」

C. 40〜100人・未達

納付金は基本かからないが、雇用義務と報告・行政対応はある。営業難度は少し上がる。

痛み:

提案:

営業文句:

「納付金よりも、最初の1名を安全に採って続ける設計が大事です」

D. すでに雇用しているが定着が悪い

ここは人材紹介よりも定着支援が刺さる。

痛み:

提案:

営業文句:

「採用人数より先に、辞めない設計を作りましょう」

商材パッケージ案

1. 無料/低額診断

目的は商談化。

入力:

出力:

2. 採用設計パック

3. 紹介パック

4. 定着支援パック

営業で聞くべき質問

初回商談ではこの順番がいい。

  1. 常用労働者数は何人ですか?
  2. 現在の障害者雇用カウントは何人分ですか?
  3. 2026年7月の2.7%化は織り込んでいますか?
  4. 不足人数は社内で把握していますか?
  5. 直近3年で採用した障害者の定着状況は?
  6. 採用が詰まっている理由は、母集団不足・職務不足・現場不安・制度理解不足のどれですか?
  7. 精神/発達障害者の短時間・トライアル雇用は検討済みですか?
  8. 助成金は誰が確認していますか? 社労士・労働局・紹介会社・人事のどこですか?
  9. 受け入れ部署の管理者研修や合理的配慮の型はありますか?
  10. 採用後の定着支援を外部に出す余地はありますか?

注意点・地雷

助成金を保証しない

助成金は要件・申請タイミング・書類・紹介経路で落ちる。営業では「対象可能性がある」「要件確認が必要」と言うべき。

申請代行は社労士領域に注意

助成金の申請書類作成・提出代行は社労士法に触れる可能性がある。人材紹介会社は、制度案内・必要情報の整理・社労士連携までに留めるのが安全。

手帳・障害情報の扱いに注意

雇用率算定には手帳情報等が関わる。本人同意、プライバシー、差別禁止、合理的配慮の扱いが重要。

採用だけだと危ない

法定雇用率だけを追うと、職務がないのに採る・孤立する・辞める、になりやすい。職務切り出しと定着支援が必須。

“農園型”や外部施設型は慎重に

厚労省ページでも、障害者の就業場所となる施設・設備や業務提供を行う事業者利用の広がりに触れ、基本理念や事業主責務の観点から懸念される状況があるとしている。営業で使うなら、能力開発・キャリア形成・自社業務との接続を説明できないと危ない。

提案資料の骨子

タイトル案:

2026年2.7%化に備える、障害者雇用未達企業向け採用・定着ロードマップ

構成:

  1. 法定雇用率2.5%→2.7%の変更
  2. 現在不足人数と2026年不足人数
  3. 未達時の納付金・行政対応リスク
  4. 採用だけでは解決しない理由
  5. 職務切り出しと受け入れ体制
  6. 人材紹介チャネル
  7. 特定求職者雇用開発助成金・トライアル雇用
  8. JEED助成金・ジョブコーチ・地域支援
  9. 90日導入プラン
  10. 見積・次アクション

90日導入プラン

0〜2週目: 診断

3〜4週目: 職務切り出し

5〜8週目: 母集団形成

9〜12週目: 選考・受け入れ

いちばん売れそうな切り口

「未達人数を埋める採用」ではなく、2026年2.7%化に耐える“辞めない障害者雇用体制”を作る。

この言い方が一番いい。単なる紹介会社ではなく、制度・助成金・定着まで分かっている相手に見える。

ソース

質問したい箇所を選択
この箇所について質問
✓ 質問を送信しました